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土地からデザインした平屋住宅 Works Case#011 愛知県日進市I様邸

テラスで朝食を楽しむ平屋の設計

東西に道路に接する2面接道の敷地でした。西側の道路と東側の道路からのプライバシーに配慮したオープンテラスが魅力の平屋設計としました。

Facade_1

Facade_1

遊び心のあるアプローチとゆったりとした駐車場を配置した西側のファサード。西日に配慮した最小限度の窓配置とレッドシダーのアクセント壁の効いたシンプルなデザインとしました。

玄関ドアは正面から見えない位置に配置し、室内を外から見えないようにし生活感を感じさせない配慮がされています。雨どいを正面に見せない施工もデザインをすっきりと見せる工夫となっています。

東南側の光をしっかり入れ込むL字の平屋設計です。西側の道路からは奥の庭が望めないように設計されています。東側の道路は、高低差(道路より宅地が1.8メートル高い)を利用し、プライバシーを確保したテラスの設計となっています。庭には、全ての居室から見える位置に季節を感じる植栽を配置しました。テラスで朝食を取る習慣のあるお客様のご要望を叶えた設計となりました。

設計図1設計図1

平屋の設計は、部屋と部屋をつなぐ廊下の設計が肝となります。LDKの裏側には、玄関から水回り、食品庫から家事室を抜けてクローゼット、そして一番奥の和室まで裏導線を設計。裏導線は、LDKと庭の空間の一体感を生み出すポイントとなるアイデアとなりました。東南側(庭側)には大きな窓を大胆に配置し、庭との一体感と開放性、そして庭の景観を取り込むよう設計されました。大きく開けられた開口部は、東側の高低差を考慮し、プライバシーにも配慮がされています。

設計図2設計図2
Living_1

Living_1

東南の窓は庭に向かって大きく配置しました。LDKのすべてのエリアから季節感あふれる緑が見られるよう設計されています。内外の連続性を確保するには、外からのプライバシーの配慮もしなくてはなりません。東側にある道路は、宅地より1.8メートル低い位置にあり、高低差を利用したプライバシーの確保が可能となりました。リビングの天井は、東側のデッキスペースの天井まで板張りで統一し連続性をつくることで開放感を創出しています。

Exterior

Exterior

高低差を活かしたプライバシーに配慮した窓の配置。軒を深くすることで、よりプライバシーを確保することができています。軒の下では、朝食をテラスで楽しむライフスタイルが実現しています。朝から明るい東側のテラスで、気持ちの良い週末のブランチを。

Private Zone

Private Zone

WICL→家事室→食品庫→脱衣室→UBへと一直線につながる裏導線。廊下を裏側へ配置することでLDKを最大限広くし、家事のしやすい導線を両立しています。

Japanese Room

Japanese Room

裏導線の一番奥に和室のスペースを配置しました。客間としても機能できる配置としています。デッキ側には縦長の窓を配置し、明るさを確保するとともに庭木を望める風情も設計に加えました。こもり感がちょうどよく、落ち着く場所となりました。

Facade_2

Facade_2

夜のライトアップも建物のファサードをつくる大切な要素です。シンプルな外観にアクセントの板張りは、夜のライトアップ時の方が強調され美しい景観となります。決して明るくしすぎない照明計画で、明暗をつくりだしエントランスの雰囲気を印象的なものとしています。

施工へのこだわり

シンプルなデザインは、施工の善し悪しが出やすいものです。西側正面のファサードは、屋根をなるべく目立たないように施工しています。雨どいなどは、建物内側の庭に設置し端正な正面性をつくることを心がけました。リビングにある長いベンチも建築家具として作成。丁寧な大工の仕事で実現しています。

「土地からのデザイン」

建築家/齋藤 真二
(Atelier if 一級建築士事務所)

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平屋を建てるには十分な広さの土地。だが、齋藤氏はいつも以上に土地から見える景色を入念に頭に入れていた。東西が道路に面しており、東にあたっては土地が道路より高くなっている。そのため、この土地は周りから良く見られる。今回のポイントは「周りからどうみせるか」。

目線を配慮して生活できるように、ファサードからでは間取りが読み取れない。さらに、L字型に住宅を配置し、庭に奥行きを持たせることで、通行人の目線を排除。人目を気にせず伸び伸びと庭を駆け回る子供たちの姿が印象深く残った。家の中だけでなく土地全体をデザインし、「住み心地」よりワンランク上の暮らしを追及した物件である。

建築家プロフィール/齋藤 真二