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公園を向かいに構える住まい。
角地を最大限に生かした気持ちの良い空間 Works Case#004 愛知県みよし市T様邸

北西側の公園の景観を取り込む住まい

新しい住宅街の一角。角地で気持ちの良い土地との出会い。道路を挟んで正面には公園があり、その周辺環境の心地よさを最大限に生かした住まい。

Facade_2

Facade_2

正面のファサードは、グレーのガルバリウム鋼板を基調とし、3つの黒枠の窓を組み合わせシンプルにデザインされている。窓と窓との間の外壁材は、窓枠と同色の素材で施工することで1つのまとまりとして見えるよう工夫されている。道路側からうかがえるデザインからは、室内の間取り構成が想像できないデザインとなっており、生活感を無くしたいという建築家の意図が伺える。

窓の機能は、北西側の公園の借景を取り入れる。プライバシーに配慮しながら大胆に大きく開かれた窓から四季の季節感を感じることができる。一日中、安定した光を取り入れることのできる北側の窓はカーテン無しでも生活できるよう提案されました。

Second Floor

Second Floor

1階のリビングから階段を上がると、公園が一望できる窓にたどり着きます。2階の階段ホールを広めに確保し、将来ピアノ置けるよう設計されています。四季折々の季節感を感じながらピアノを楽しむ空間として提案させていただきました。

北側の窓から差し込む安定した光は、常に柔らかな光をホールから1階へと届けてくれます。大胆に大きく開いた窓であるにも関わらず、プライバシーを確保されていることで、開放感と安心感を両立した窓配置となりました。

Facade_1

Facade_1

西側のファサードもシンプルに構成されています。西側は、西日の対策をしながらの窓配置が基本となります。あまり大きく開けすぎると、夏場の温熱環境を悪くする原因となります。小窓を一定のリズムで配置するとバランスの良いデザインとなります。

西側には駐車場を配置することで、道路と建物の距離を取りました。一定の距離を取ることで、角地のデメリットであるプライバシーの侵害を解決した設計となっています。

駐車場は、コンクリートと砂利とタイルの組み合わせでデザインをしています。広い駐車場が単調なデザインとならないようリズム感を意識してデザインいたしました。

Living_1

Living_1

リビングは定石通り南側に配置。南側の日差しをたっぷり取り込む窓は大きく設計されました。内と外とをつなぐ掃き出しの窓と腰窓の大きなFIX窓の組み合わせで、開放感のあるリビング空間を設計しました。

縦長に配置された吹き抜けは、1階のカーテンを閉めていても2階から直射日光を取り込めるようになっています。このリビングの吹き抜けと階段の吹き抜けを別々にすることで、2か所の吹き抜け空間を構成することになりました。2か所の吹き抜けがあることで、空気のサーキュレーションがしやすくなっており家中が一定の温度に保ちやすく設計されています。インテリアデザインだけでなく性能を設計することも大切なことだと考えています。

Atrium Space~Laundry Space

Atrium Space~Laundry Space

リビングの吹き抜けの横にはサンルームとして活用できるランドリースペースを確保しました。ランドリースペースを壁で仕切ることをせず、鉄骨手すりを設けることで家族のつながりを感じながら家事ができるようにいたしました。吹き抜け空間は、空気のサーキュレーションもしやすく、室内の中で最も洗濯物が乾く場所ともなっています。

鉄骨手すりにすることで、ランドリースペースの窓の光も吹き抜けを通じてリビングに落とし込むことができました。

オープンスペースとしながらも、洗濯物のにおいがリビング空間に行かないよう換気計画をしています。気密性能を高め、換気計画がきっちり働くことを前提とした設計ともなっています。

Book Corner

Book Corner

この住まいの唯一の廊下スペースは、両サイドを本棚にすることで収納を兼ねた設計となっています。本が好きな家族だから、「ついつい本を手に取ってしまう」ということが日常的になるよう設計に思いを込めました。廊下も多目的に設計することでデッドスペースを無くし、暮らしに楽しみと機能性を与えます。限られた建築面積の中で、最大のパフォーマンスを出すことを常に考えています。

施工へのこだわり

間仕切りの少ない、つながりのある空間の設計には計算された換気計画が必須となります。建築家が設計した換気計画を、施工で実効性のあるものにしなくてはなりません。換気をしっかり働く空間にするためには、気密性能が必須となります。気密性能は、大工の丁寧な施工からしか生まれないのです。

「つながる住まい」

建築家/矢橋 徹
(矢橋徹建築設計事務所)

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土地が整備され、これから住宅街ができる明るく開けた土地。土地の北西には公園があり、見晴らしも良い。さらに角地であるという土地のポテンシャルを生かすのが矢橋氏の最大のミッションとなった。

今回は明るく日が差す西側にファサードを。周辺環境を気に入っている住まい手を想い、2階には開けた青空と公園が見渡せる窓を配置。階段を上がっていくと青空に向かって歩いているようで気持ちが良い。南側には吹抜けを設け、LDKに光が降る。周辺環境からプランニングを考え、外との繋がりを最大限に生かした矢橋氏だからこそできるの住まいの提案である。

建築家プロフィール/矢橋 徹